症例報告
S状結腸癌と粘液産生膵癌・皮膚癌の3重複癌の1例
牧角 寛郎, 高尾 尊身, 石沢 隆, 愛甲 孝, 島津 久明, 田中 啓三*, 今給黎 茂**, 牧角 仙烝**
鹿児島大学第1外科, 同 第2内科*, 園田病院**
症例は68歳の男性である.1974年に血便を主訴として来院し,当院においてS状結腸癌(高分化型腺癌)の診断のもとにS状結腸切除術を施行した.15年後の1989年7月,左手背部の腫瘤を主訴として来院し,径2×2 cm大の腫瘤の切除を行ったところ,腫瘤は病理組織学的に扁平上皮癌であった.さらに2か月後の1989年9月,背部痛を主訴として来院した.Computed tomography,endoscopic retrograde pancreatogram,ultrasonographyなどによって膵癌と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.この腫瘍はいわゆる粘液産生膵癌であった.
外科的に切除された3重複癌は極めてまれである.今回の症例の詳細に文献的考察を加えて報告した.
索引用語
triple cancer, mucin-producing pancreatic cancer
日消外会誌 25: 1349-1353, 1992
別刷請求先
牧角 寛郎 〒898 枕崎市緑町132 園田病院外科
受理年月日
1992年1月8日
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