原著
肝循環のシミュレーション・モデル
桜井 健司, 中林 幸夫, 鈴木 旦麿, 中川 辰郎, 志村 武彦*, 内山 明彦*
東京慈恵会医科大学第1外科, *早稲田大学理工学部電子通信学科
消化器外科領域では肝臓の血行が慢性,あるいは急性に障害された病態を治療対象としたり,または手術などで直達的に操作することが少なくない.
本論文では消化器外科の診療,または研究で比較的多く遭遇すると思われる,1)肝動脈結紮,あるいは門脈結紮時の肝循環,2)腸間膜静脈結紮,3)肝動脈結紮下部分的門脈動脈血化(arterialization of the portal vein with the hepatic artery ligated),4)門脈圧亢進症の血流,などについてのコンピュータ・シミュレーション・モデルを構築し,肝循環動態を汎用simulator PSpiceでシミュレーションした.
肝循環を観察する主な要因,すなわち動脈圧,肝内血管抵抗,腹部内臓あるいはシャントの血管抵抗などを病的状態または手術操作を想定して変化させると,診療上問題になる病態をシミュレーションできる.
索引用語
simulation model of the hepatic circulation, circulation simulation of hyperdynamic state, arterialization of the portal vein
日消外会誌 25: 1371-1380, 1992
別刷請求先
桜井 健司 〒105 東京都港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学第1外科
受理年月日
1992年3月11日
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