原著
肝細胞癌の術前診断における経動脈性門脈造影下CTのnon tumorous perfusion defectの検討
落合 登志哉1), 2), 高安 賢一1), 若尾 文彦1), 森山 紀之1), 村松 幸男1), 山崎 晋2), 幕内 雅敏3)
国立がんセンター病院放射線診断部1), 同 外科2), 信州大学第1外科3)
術前に腹部超音波,computed tomography(以下CT),血管造影,経動脈性門脈造影下CT(以下門脈CT)が施行された肝細胞癌症例85例を対象に,門脈CTで描出されたnon tumorous perfusiondefect(以下NTPD,腫瘍部と無関係のperfusion defect)について検討した.85例中16例(18.8%),27病巣のNTPDが認められた.形状は円形~類円形が多く,肝のいずれの区域にも認められ,その大きさは径3 cm以上と径2.0 cm以下が多かった.NTPDの原因を検討した結果,原因の明らかになったものが5例(31.2%)でその内訳は,i)血液が副門脈,胆嚢静脈,総胆管周囲静脈を介して直接肝内門脈に流入していたもの3例,ii)門脈腫瘍塞栓が存在したもの1例,そして,iii)前癌病巣であったもの1例でぁった.
門脈CTでみられるperfusion defectが腫瘍によるものかどうかの判定を行う場合上述したNTPDの存在を念頭におく必要がある.
索引用語
portal angiographic CT, hepatocellular carcinorma, non tumorous perfusion defect
日消外会誌 25: 1958-1964, 1992
別刷請求先
落合登志哉 〒104 中央区築地5-1-1 国立がんセンター病院外科
受理年月日
1992年2月12日
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