原著
他の腹部手術に付随して行われた胆嚢摘出症例の検討
高橋 誠, 岡田 吉弘, 田中 治実, 大野 一英, 遠藤 文夫, 升田 吉雄, 増田 益功, 加藤 厚, 小幡 五郎, 高井 満
松戸市立病院外科
当科の過去10年間における胆嚢結石あるいは胆嚢ポリープでの胆嚢摘出術施行症例は602例であり,そのうち86例(14.3%)は他臓器手術に付加しての胆嚢摘出術例(付加胆摘例)である.この86例の付加胆摘例について臨床的検討を行った.
付加胆摘例は年次的に増加傾向を示し,最近3年間では全胆嚢摘出例の20%以上の高い比率を占めるとともに,年代別では高齢者ほど高い頻度であった.
他臓器疾患としては胃癌が33例と最多で次いで大腸癌9例であり,肝細胞癌,膵腫瘍,食道静脈瘤,球状赤血球症,の順であった.
86例中80例が結石,6例がポリープであり,共に無症状例が多く,術後合併症も胆嚢摘出に由来すると思われるものは胆汁漏出1例,膿瘍1例のみであった.また,付加胆摘によって他臓器手術の合併症が増えることもなく,安全に行えると思われた.
索引用語
concomitant cholecystectomy, gall bladder diseases accompaning with other organ disorders
日消外会誌 25: 1969-1974, 1992
別刷請求先
高橋 誠 〒271 松戸市上本郷4005 松戸市立病院外科
受理年月日
1992年2月12日
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