症例報告
巨大肝細胞腺腫の1切除例
榎 忠彦, 守田 信義, 平岡 博, 相川 文仁, 小林 哲郎, 飯尾 里, 高橋 剛, 江里 健輔
山口大学第1外科
肝機能障害の既往,経口避妊薬や蛋白同化ホルモンの服用歴のない21歳女性に発生した,肝左葉内側区域の巨大な腫瘍を切除した.術後の病理組織学的検討で,非腫瘍部肝組織は正常で,腫瘍細胞は異型性に乏しく,正常肝細胞に類似しており,monotonousな増殖形態を示しており,グリソン鞘や胆管は見られず,肝細胞腺腫と考えられた.肝細胞腺腫はEdmondson I型肝細胞癌との鑑別が問題となるが,肝細胞癌への前段階的病変ではなく,全く異なった疾患単位であると考えられる.しかし,肝細胞腺腫が真の意味で良性腫瘍であるか否か,症例数も少なく今後の検討を待つ必要があろう.
索引用語
benign liver tumor, liver cell adenoma
日消外会誌 25: 1999-2003, 1992
別刷請求先
榎 忠彦 〒755 宇部市小串1144 山口大学医学部第1外科
受理年月日
1992年3月11日
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