Gardner症候群に合併し治療に難渋したdesmoid腫瘍の1例

野村　務, 恩田　昌彦, 徳永　昭, 山下　精彦, 田中　宣威, 古川　清憲, 伊藤　誠二, 松倉　則夫, 横井　公良, 岡崎　滋樹, 木山　輝郎, 横山　滋彦

日本医科大学第1外科

　Gardner症候群の患者に発生したdesmoid腫瘍に対して，外科治療，内分泌療法，免疫療法，放射線療法など集学的治療を行ったので報告する．患者は昭和35年生まれの男性．昭和49年，14歳の時に，大腸腺腫症，下顎骨腫を指摘され，Gardner症候群と診断された．昭和59年11月，ポリープに癌化が認められ全結腸切除術施行．昭和61年5月，腹部手術創直下のdesmoid腫瘍を摘出．昭和62年2月同腫腫瘍再発，新たに後腹膜にもdesmoid腫瘍を認め，同4月，腹壁腫瘍の摘出および後腹膜腫瘍へ溶連菌製剤OK-432を局注した．術後，抗estrogen剤のtoremifeneを投与，画像診断にて後腹膜腫瘍の縮小を認めた．昭和63年6月，腹壁腫瘍の再発および後腹膜腫瘍の増大を認め，腹壁腫瘍は再摘出，後腹膜腫瘍に対しては放射線照射を行った．
　治療に難渋したdesmoid腫瘍に対する集学的治療成績について報告し考察を加える

索引用語
Gardner's syndrome, desmoid tumor, toremifene

別刷請求先
野村　務　〒113　東京都文京区千駄木1-1-5　日本医科大学第1外科

受理年月日
1992年3月11日

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