症例報告
若年女性に発生した結腸カルチノイドの1例
村上 義昭, 横山 隆, 児玉 節, 竹末 芳生, 沖田 光昭, 中光 篤志, 今村 祐司, 山東 敬弘, 宮本 勝也, 津村 裕昭, 平田 敏明, 松浦 雄一郎
広島大学第1外科, 同 総合診療部*
左側腹部痛を主訴として来院した,23歳,女性に発症した結腸カルチノイドの1例を報告した.患者は,血液検査ではLDHの高値を呈し,超音波検査,computed tomography検査にて左上腹部に10×5 cm大の腫瘤を認め,注腸造影X線検査にて,脾攣曲部の結腸に閉塞を認めたため,結腸壁由来の悪性腫瘍を疑い,手術を施行した.腫瘤は左腎,膵への浸潤を認めたため,左半結腸切除,膵尾部・脾・左腎合併切除を施行したが,術後の病理学的診断は,リンパ節転移を伴う,曽我分類による混合型のカルチノイドであった.また,腫瘍細胞は,銀親和性,銀還元性ともに陰性であった.本症例は,若年者の結腸に発生したきわめてまれなカルチノイドであったが,後腸系のカルチノイドに多いとされる混合型(曽我分類),銀反応陰性型という組織学的特徴を有していた.なお,本邦における45例の結腸カルチノイド症例についても統計的考察を行った.
索引用語
carcinoid tumor of the colon
日消外会誌 25: 2036-2040, 1992
別刷請求先
村上 義昭 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学医学部第1外科
受理年月日
1992年2月12日
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