症例報告
結腸癌に起因する腸重積症の2例
山下 好人, 大平 雅一, 川添 義行, 池原 照幸, 奥野 匡宥, 曽和 融生
大阪市立大学医学部第1外科
腸重積を呈した大腸癌の2例を報告し,文献的考察を加えた.症例1は22歳,女性.主訴は腹痛,下血.腹部超音波および注腸検査にて右側横行結腸部に腸重積を認め,非観血的に整復.再度施行した注腸検査,大腸内視鏡検査にて盲腸に腫瘤形成型の癌腫を認め,根治手術を施行した.症例2は75歳,男性.主訴は下血.注腸検査にて腫瘤形成型のS状結腸癌と診断.その後に腹痛が出現し,大腸内視鏡検査にて癌による腸重積を認め,整復せずに根治手術を施行した.自験例を含めた1981~1990年までの本邦報告37例と同時期の当科での切除単発結腸癌症例259例を比較検討した.腸重積を呈した結腸癌37例の検討では発生部位はS状結腸に51.4%と最も多く,次いで盲腸癌が32.4%を占めた.また腫瘤径は腸重積の発生要因とはならず,壁深達度では早期癌で比較的,腸重積を起こしやすく,肉眼型別では限局型腫瘤が腸重積を呈しやすかった.
索引用語
adult intussusception, colon cancer
日消外会誌 25: 2041-2045, 1992
別刷請求先
山下 好人 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部第1外科
受理年月日
1992年3月11日
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