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第25巻 第7号 1992年7月 [目次] [全文 ( PDF 540KB)]
症例報告

痔瘻に随伴した肛門管癌7例の検討

加瀬 卓, 小平 進, 寺本 龍生, 久 晃生, 古川 和男, 山口 博, 捨田利 外茂夫, 長谷川 博俊, 郭 宗宏, 西堀 英樹, 北島 政樹, 向井 万起男

慶應義塾大学医学部外科, 同 中検病理

 1970年1月から1991年9月までに当教室において経験した,痔瘻に随伴した肛門管癌7例について検討した.7例のうちわけは男性6例,女性1例で,年齢は43~77歳(平均59.1歳)であった.痔瘻または膿瘍発症から癌確診までの期間は4年~47年(平均22.9年)であった.主訴として粘液分泌,肛門部痛,腫瘤・硬結触知,出血,肛門狭窄,などが認められた.7例全例に腹会陰式直腸切断術が施行され治癒切除4例,非治癒切除3例であった.組織型は粘液癌3例,高・中分化腺癌3例,扁平上皮癌1例であった.7例中4例は,初回生検で確定診断可能であったが,残りの3例は癌確診までに頻回の診断手技を要した.長期にわたり痔瘻を有し,粘液分泌,腫瘤・硬結触知などの症状を呈する症例については癌の合併を考慮し,瘻管切除を含む頻回の生検を施行して確定診断を下すべきであると考えられた.

索引用語
carcinoma associated with anal fistula, anal carcinoma, anal fistula

日消外会誌 25: 2055-2059, 1992

別刷請求先
加瀬 卓 〒160 新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部外科

受理年月日
1992年3月11日

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