症例報告
十二指腸乳頭部癌に併存した傍乳頭総胆管十二指腸瘻の1例
上辻 章二, 高井 惣一郎, 箕浦 俊之, 駒田 尚直, 山村 学, 上山 泰男
関西医科大学第1外科
十二指腸乳頭部癌に傍乳頭総胆管十二指腸瘻を併存した症例報告はきわめてまれである.われわれは,十二指腸乳頭部癌により傍乳頭総胆管十二指腸瘻を形成したと思われた症例を経験したので報告する.患者は72歳,女性で全身倦怠感を主訴として来院した.十二指腸内視鏡および内視鏡的逆行性胆管膵管造影により,傍乳頭部総胆管十二指腸瘻併存乳頭癌の診断にて膵頭十二指腸切除術を施行した.
内胆汁瘻の成因としての胆石症例の報告は多数みられるが,本症のごとく,乳頭部癌が共通管,総胆管下部および乳頭部粘膜下より十二指腸壁へと浸潤し,腫瘍組織の崩壊,脱落による抵抗減弱部が胆汁流出路として形成されると推測される報告は少なく,本邦報告例は8例であり,これらにおける瘻孔形成機転など検討を加え報告する.
索引用語
parapapillary choledochoduodenal fistula, ampullary carcinoma
日消外会誌 25: 2186-2189, 1992
別刷請求先
上辻 章二 〒570 守口市文園町1 関西医科大学第1外科
受理年月日
1992年4月1日
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