症例報告
腸閉塞症状を呈した回腸子宮内膜症の1例
石井 敏勤, 岡本 安弘
三鷹中央病院外科
腸閉塞症状を呈した回腸子宮内膜症の1例について報告する.
症例は35歳女性で,月経に伴った腹痛があり,1991年3月,腸閉塞症状のため緊急入院した.Ileus tubeによる腸管内の減圧をはかった後,小腸造影で回腸末端部に狭窄像を認めた.回腸子宮内膜症の診断のもと,回盲部切除,右卵巣卵管切除術を施行した.組織学的検査で,腸管の筋層内に子宮内膜組織を認めた.回腸子宮内膜症の本邦報告例は25例で,まれな疾患である.診断は,婦人科的症状に伴ってしばしば起こる腹痛などの問診から,疑いをもつことから始まる.症状を起こした腸管子宮内膜症に対する治療は,腸切除が最適である.腸閉塞の原因として,本疾患も念頭において診療にあたるべきである.
索引用語
intestinal obstruction, ileal endometriosis
日消外会誌 25: 2219-2222, 1992
別刷請求先
石井 敏勤 〒181 三鷹市上連雀5-23-10 三鷹中央病院外科
受理年月日
1992年4月1日
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