卒後教育セミナー
潰瘍性大腸炎に対する回腸肛門吻合術の臨床的および機能的成績
宇都宮 譲二
兵庫医科大学第2外科
回腸肛門吻合術(IAA)とは直腸粘膜を肛門歯状線上で完全に切除することを前提とする.著者は1979年東京において研究を開始し,1983年以降兵庫においてさらに改良して術式を確立した.すなわちprone-jack-knife位における経肛門腹式medium cuff,粘膜切除,J pouchの肛門括約機構への直接の吻合および空置的イレオストミーの常用である.手術対象となったUC 65例中64例98%に実施することができ,評価対象51例中88.2%に成功し,その排便機能は平均排便回数4.8回continent率66%であった.不成功例は6例でいずれも骨盤内感染にかかわる排便機能障害であった.3期分画手術(Schneider法)を原則的(75%)に行い,術式が定型化した1988年末以降では成功率はさらに改善されている.本法により外科的UC例の90%は自然肛門を温存しつつ症状から離脱しうるものと考える.また一層の排便機能の改善とpouchitis(11%)など晩期合併症の解決にはさらなる研究を要する.
索引用語
ulcerative colitis, ileoanal anastomosis, bowel funetional results
日消外会誌 25: 2248-2253, 1992
別刷請求先
宇都宮譲二 〒663 西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学第2外科
受理年月日
1992年5月13日
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