原著
エンドトキシン肝障害におけるKupffer細胞の関与の検討
井上 典夫, 遠藤 清次, 阿部 力哉
福島県立医科大学第2外科
エンドトキシン肝障害においてKupffer細胞の関与の有無を,ラットの初代培養系を用いて検討した.肝細胞をLPS(lipopolysaccharide)濃度0,25,50,100 µg/mlで24時間培養してもviabilityに有意差はなく,LPSの直接障害性は認めなかった.Kupffer細胞をLPS濃度0,25,50,100 µg/mlで24時間培養した培養上澄みで,別に分離した肝細胞を24時間培養してviabilityを測定すると25 µg/ml以上で有意に障害性を認めた.また,LPSをラットの尾静脈より投与しエンドトキシン血症を作成し,24時間後に分離したKupffer細胞を用いて同様の検討をすると25 µg/ml以上でさらに強い障害性が認められた.これをLPSの静脈投与しない場合と比較すると有意に強い肝細胞障害性を示した.in vitroではエンドトキシンに直接的な肝細胞障害作用はなくKupffer細胞を介して肝細胞障害性を示した.さらにエンドトキシン血症の病態ではKupffer細胞はより活性化されていることが示された.
索引用語
Kupffer cell mediated hepatotoxicity, endotoxin induced hepatotoxicity, Kupffer cell, primarily cultured rat hepatocyte, MTT assay
日消外会誌 25: 2301-2307, 1992
別刷請求先
井上 典夫 〒960-12 福島市光が丘1番地 福島県立医科大学第2外科
受理年月日
1992年5月13日
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