原著
肝細胞癌切除例におけるalpha-fetoproteinおよびPIVKA-IIの臨床病理学的意義
三澤 一仁, 宇根 良衛, 中島 保明, 佐藤 直樹, 松岡 伸一, 神山 俊哉, 嶋村 剛, 蒲池 浩文, 富岡 伸元, 内野 純一
北海道大学第1外科
肝細胞癌切除48例における血中異常プロトロンビン(以下,PIVKA-II)およびalpha-fetoprotein(以下,AFP)の値と肝細胞癌の臨床病理学的な因子の関連を検討した.初発時のAFP,PIVKA-IIの陽性率はそれぞれ68.8%,58.3%で両者間に相関関係を認めず,両者を併用すると85.4%が陽性を示した.各腫瘍因子との検討ではAFPは腫瘍径と相関を認めず,被膜,被膜浸潤の有無,門脈腫瘍栓,肝内転移の程度とも関連を認めなかった.一方PIVKA-IIは腫瘍径と相関を認め,進行度,肝内転移の程度,再発,予後とに関連を認めた.また初発時腫瘍マーカーが陽性であったもののうち再発時にも陽性であったものは,AFPが45%,PIVKA-IIが38%,また初発時に陰性であったもののうち再発時に陽性となったものはAFPが13%,PIVKA-IIが0%であった.したがって肝細胞癌の進行度診断にはPIVKA-IIが有用であり,また肝切除後の再発診断には両者の測定が必要であると考えられた.
索引用語
hepatocellular carcinoma, PIVKA-II, alpha-fetoprotein, recurrence
日消外会誌 25: 2308-2313, 1992
別刷請求先
三澤 一仁 〒060 札幌市北区14条西5丁目 北海道大学医学部第1外科
受理年月日
1992年5月13日
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