膵頭十二指腸切除術における膵液，胆汁ドレナージ―Retrograde transhepatic pancreatico-biliary drainage tubeの効果について―

岩崎　剛一, 小針　雅男, 砂村　真琴, 武田　和憲, 大内　清昭, 松野　正紀

東北大学第1外科

　教室で過去8年間に施行された膵頭十二指腸切除術38例を，Tチューブおよび空腸瘻による従来法19例と，膵液，胆汁のドレナージを同時に，逆行性に行うretrograde transhepatic pancreatico-biliary drainage（RTPBDチューブ法）19例の2群に分け，術後経過，合併症について検討した．平均流出量は，膵液は，従来法163.5±13.7 ml，RTPBD法113.4±5.2 ml，胆汁は，従来法292.3±24.4 ml，RTPBD法323.4±65.2 mlと差は認めなかった．Alkaline phosphataseの上昇は，いずれも50％～60％と高率で，黄疸も20％～30％にみられたが，ドレナージ法による差はなく，一過性であった．縫合不全は，胆管空腸吻合，膵空腸吻合ともにドレナージ法による差は認めなかった．RTPBD法は，従来法と同様，十分な膵液，胆汁のドレナージが可能であり，ドレナージ経路が単一で，手技が容易であり，膵頭十二指腸切除術における膵管，胆管のドレナージ法として有用であった．

索引用語
pancreaticoduodenectomy, pancreaticojejunostomy, pancreatic juice drainage, bile drainage

別刷請求先
岩崎　剛一　〒980　仙台市青葉区星陵町1-1　東北大学医学部第1外科

受理年月日
1992年5月13日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です