原著
大腸癌のリンパ節転移個数と予後
星野 和義, 木島 寿久, 森脇 誠司, 米川 正夫, 角 賢一, 菅沢 章, 木村 修, 貝原 信明
鳥取大学第1外科
1977年から1989年までに当科で治癒切除を受けた大腸癌取扱い規約のstage III,IVの大腸癌症例のうち,深達度ss,sまたはa1,a2の100例を対象として,転移リンパ節個数と予後の関係について検討した.転移個数を1個,2個,3個,および4個以上に分けて5年生存率を比較すると,それぞれ56%,63%,34%,35%であった.転移個数を2個以下と3個以上の2群に分けて5年生存率を比較すると,それぞれ59%,35%であり,両群間に有意差が認められた.一方,TNM分類に準じた3個以下と4個以上の比較では,それぞれ54%,35%であり,統計学的有意差ではなかった.さらに,大腸癌取扱い規約に基づくn1転移陽性例のみの比較でも,転移個数3個以上では2個以下に比して治療成績不良であった.以上より,転移リンパ節個数2個以下と3個以上の2群に群別することは,予後を推測するうえで有用であると考えられる.
索引用語
prognosis of colorectal cancer, lymph node metastasis
日消外会誌 25: 2342-2346, 1992
別刷請求先
星野 和義 〒683 米子市西町36-1 鳥取大学医学部第1外科
受理年月日
1992年5月13日
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