症例報告
皮膚筋炎を併存した食道癌の1例
米川 甫, 島 伸吾, 吉住 豊, 杉浦 芳章, 田中 勧, 玉井 誠一*
防衛医科大学校第2外科, 同 病理*
きわめてまれな皮膚筋炎を併存した食道癌の1手術例を報告した.
患者は66歳の男性で,1986年以来皮膚筋炎のためステロイド剤で治療を受けていたが,1988年5月に軽度の嚥下時咽頭違和感があり,食道造影・内視鏡で食道癌と診断された.手術を勧められたが症状軽微なため拒否した.その後食道癌の進行にもかかわらず皮膚筋炎は改善し,非ステロイド系消炎剤投与で管理可能であった.1989年秋より嚥下困難となり同年11月に胸部食道全摘術を施行.癌は胸部下部食道から上部食道に広がる高分化扁平上皮癌で,傍食道のほか気管分岐部リンパ節にも転移を認めた.術後経過は良好で皮膚筋炎の再燃はなく,消炎剤の投与も不要であった.
本例は14か月で癌再発のため死亡した.本邦で症例報告された他の4例の皮膚筋炎合併食道癌と合わせて文献的考察を行った.
索引用語
carcinoma of the esophagus, malignant tumor, dermatomyositis
日消外会誌 25: 2354-2358, 1992
別刷請求先
米川 甫 〒157 世田谷区大蔵2-10-1 国立大蔵病院外科
受理年月日
1992年5月13日
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