症例報告
Computed tomographyが診断に有用であった胃脂肪腫の1例
桜井 康弘, 藤本 泰久, 南波 哲也, 西原 承浩, 曽和 融生, 梅山 馨*
大阪市立大学医学部第1外科, 育和会記念病院*
Computed tomography(CT)が診断に有用であった比較的まれな胃脂肪腫の1例を経験したので,本邦報告例の集計を行い文献的考察とともに報告する.
症例は47歳の男性で,約3年前に検診で胃粘膜下腫瘍を指摘され経過観察されていたが,増大傾向が認められたため当科に紹介された.上部消化管造影X線検査,胃内視鏡検査で胃体上部後壁に粘膜腫瘤が認められ,生検では腫瘍成分が得られなかったが,CTでは内部が均一なlow density areaとしてとらえられた.胃脂肪腫を疑い,摘出術を施行した.組織学的には良性脂肪腫であった.
本邦180例の集計からみても,胃脂肪腫の術前診断にはCTはその簡便性,非侵襲性からも有力な検査法であると考えられた.
索引用語
gastric lipoma, abdominal computed tomography, gastric submucosal tumor
日消外会誌 25: 2359-2363, 1992
別刷請求先
桜井 康弘 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部第1外科
受理年月日
1992年5月13日
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