症例報告
Borrmann 2型胃癌に併存した胃絨毛状腺腫内癌の1例
道伝 研司, 川浦 幸光, 大竹 由美子
石川県済生会金沢病院外科
胃絨毛状腺腫内癌の1例を経験した.症例は74歳の女性.主訴は上腹部痛,食欲不振,黒色便,胃透視と胃内視鏡検査にて,胃前庭部のBorrmann 2型胃癌と診断された.入院時,carbohydrate antigen 19-9は10 U/ml,carcinoembryonic antigenは98.8 ng/mlであった.幽門側胃亜全摘が施行された.切除標本にて,7.0×5.5 cmのBorrmann 2型胃癌に接し,3.0×3.5 cmの腫瘍を認めた.病理組織診断にて,Borrmann 2型胃癌に並存する胃絨毛状腺腫と診断された.さらに,絨毛状腺腫の一部に癌化が認められた.大腸に比べ,胃の絨毛状腺腫は極めてまれである.しかし,本症例も合わせ,過去に報告されている胃の絨毛状腺腫の全例が癌化していた.胃の絨毛状腺腫はまれであるものの,臨床上は癌に準じた治療が必要と思われた.
索引用語
gastric villous adenoma
日消外会誌 25: 2364-2367, 1992
別刷請求先
道伝 研司 〒920 金沢市本町1-2-45 石川県済生会金沢病院外科
受理年月日
1992年5月13日
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