症例報告
胆管内に発育し閉塞性黄疸をきたした肝細胞癌の1切除例
志村 賢範, 鈴木 秀, 塚本 剛, 真田 正雄, 茂木 健司, 野沢 聡志, 平田 正雄, 今野 暁雄*
千葉労災病院外科, 同 病理*
胆管内発育にて閉塞性黄疸を呈し術前,胆管細胞癌との鑑別が困難であった肝細胞癌の1切除例を経験したので報告する.
症例は43歳の男性,背部痛を主訴に来院した.腹部超音波およびcomputed tomography検査にて肝左葉に径6 cmの腫瘤とその周囲胆管の限局性拡張を認めた.入院後,次第に黄疸が増強し,percutaneous transhepatic cholangiographyを施行し左肝管から総胆管までおよぶ辺縁平滑な大きな透亮像を認めた.以上より胆管細胞癌の疑いにて尾状葉合併肝左葉切除兼胆管切除を施行した.腫瘍は外側区域中心に存在し,そこから連続性に腫瘍栓が左肝管と総胆管まで延びていた.組織学的にはEdmondson II型の肝細胞癌であった.
患者は現在再発の兆候なく外来通院中である.
索引用語
hepatocellular carcinoma, obstructive jaundice, bile duct invasion
日消外会誌 25: 2383-2387, 1992
別刷請求先
志村 賢範 〒290 市原市辰巳台東2-16 千葉労災病院外科
受理年月日
1992年5月13日
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