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第25巻 第9号 1992年9月 [目次] [全文 ( PDF 522KB)]
症例報告

胆嚢炎に起因する胆嚢出血の1例

坂本 洋一, 松毛 真一, 高橋 康幸

道北勤医協一条道病院外科

 症例は72歳の女性.1990年10月に胆石症,胆嚢炎の診断で当院に入院した.第3病日目に大量吐血をおこし,緊急内視鏡検査でVater乳頭からの出血を確認し胆道出血の診断となった.腹部超音波,CTでは緊満腫大した胆嚢を認めた.腹腔動脈造影では胆嚢動脈から造影剤の血管外漏出は認められなかった.第7病日目に再吐血し,経皮経肝胆嚢ドレナージを施行した.凝血塊と鮮血が大量に排出され出血性胆嚢炎を疑い緊急手術となった.胆嚢径は15×7 cmと緊満腫大していた.胆嚢摘出,総胆管切開を施行し胆道鏡で他の胆道系に出血が無いことを確認した.胆嚢内に4個の混合石が存在した.胆嚢粘膜は壊死脱落が強く潰瘍は無かった.病理所見では胆嚢壁は肥厚し強い炎症像,浮腫,出血巣を認めた.腫瘍性病変,動脈硬化性変化は認めなかった.胆嚢出血はまれであり,われわれの集計でも本邦における報告は61例であった.吐下血をおこした場合には胆道出血も念頭におく必要がある.

索引用語
hemobilia, hemorrhage of the gallbladder, hematemesis

日消外会誌 25: 2388-2392, 1992

別刷請求先
坂本 洋一 〒070 旭川市豊岡1条1-7-3 道北勤医協一条道病院外科

受理年月日
1992年5月13日

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