症例報告
黄疸を主訴とした膵の漿液性嚢胞腺腫の1治験例
冨木 裕一, 李 慶文, 船曳 均, 森本 俊雄, 秋本 亮一, 佐々木 浩, 桜井 秀樹, 中川 敏行, 津村 秀憲, 渡部 洋三, 松本 道男*
順天堂大学伊豆長岡病院外科, 同 病理*
今回われわれは,きわめてまれな黄疸を伴った膵の漿液性嚢胞腺腫の1切除例を経験したので報告する.
症例は56歳の男性.黄疸を主訴に来院した.腹部超音波検査および腹部CT検査では,膵頭部に一致して嚢胞性病変を認め,血管造影では腫瘍はhypovascularであった.手術により漿液性分泌物を含む多房性の嚢胞(cystadenoma,serous type)と診断された.
1988年末までの膵の漿液性嚢胞腺腫の本邦報告例に,自験例を加えた69例を集計し検討した.本症の診断は,画像診断による腫瘤の内部構造の描出と内容液の分析によって行われるが,悪性化傾向を有する粘液産生型と良く似た画像所見を示す症例も認められていることから,可能なら積極的に手術することが望ましい.
索引用語
serous cystadenoma of the pancreas, mucinous cystadenoma of the pancreas
日消外会誌 25: 2402-2406, 1992
別刷請求先
冨木 裕一 〒410-22 静岡県田方郡伊豆長岡町長岡1129 順天堂伊豆長岡病院外科
受理年月日
1992年5月13日
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