症例報告
虫垂杯細胞カルチノイドの1例
光定 誠, 島貫 公義, 山本 宏, 篠原 浩一, 清崎 浩一, 宮田 道夫, 山田 茂樹*
自治医科大学付属大宮医療センター外科, 同 病理*
今回われわれは虫垂杯細胞カルチノイドの1例を経験したので報告する.症例は80歳の男性.急性虫垂炎による穿孔性腹膜炎の診断で開腹し虫垂切除術ならびにドレナージ術を施行した.術後経過は順調であったが,病理診断は虫垂杯細胞カルチノイドおよびその末梢側の穿孔性虫垂炎であった.切除断端に腫瘍浸潤は認めなかったが,虫垂が盲腸に癒着していたこと,ly因子が陽性であったことより右半結腸切除などの追加手術についても検討したが,高齢であり重篤な心疾患を有するため施行しなかった.術後約9か月を経過し再発所見を認めていない.虫垂杯細胞カルチノイドは自験例を含め計23例の本邦報告例があり,それらの集計から本腫瘍の悪性度の高さが示唆され,より積極的に追加手術を施行すべきであると考えられた.
索引用語
carcinoid of the appendix vermiformis, goblet cell carcinoid
日消外会誌 25: 2426-2430, 1992
別刷請求先
光定 誠 〒330 大宮市天沼町1-847 自治医科大学附属大宮医療センター外科
受理年月日
1992年5月13日
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