成人腸間膜嚢腫の1治験例

森脇　義弘, 新明　紘一郎, 細井　英雄, 北川　正明, 山口　孝治, 小尾　芳郎, 長堀　優, 小泉　泰裕, 清水　彰一郎, 西山　潔

横須賀共済病院外科

　腸間膜嚢腫の1例を経験したので報告する．症例は59歳の女性で，腹部腫瘤を主訴に来院した．腹部超音波，computed tomography，magnetic resonance imaging，血管造影検査を行い，腹腔内嚢腫の診断で開腹手術を施行した．腫瘤は腸間膜根部に存在し，十二指腸水平脚に接していた．回腸動脈も巻き込んでいたが，これを剥離し腫瘤を摘出した．肥厚した壁に覆われた単房性嚢腫で内容は黄色泥状であった．組織学的には慢性炎症を伴った，上皮を持たない仮性嚢腫であった．成人の腸間膜嚢腫は比較的まれな疾患であり，その臨床的特徴を小児例と比較検討した．

索引用語
mesenteric cyst

別刷請求先
森脇　義弘　〒238　横須賀市米ケ浜通り1-16　横須賀共済病院外科

受理年月日
1992年5月13日

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