症例報告
小腸と肺に転移をきたした胸壁原発性悪性線維性組織球腫の1例
小松 正伸1)2), 三宅 毅1)2), 宮嵜 直樹1)2), 川村 昌1), 加藤 紘之2), 仲 綾子3)
北海道社会事業協会余市病院外科1), 北海道大学医学部第2外科2), 北海道組織病理学センター3)
小腸に転移を来した悪性線維性組織球腫の1例を経験した.症例は54歳の男性で,胸壁の原発巣術後5か月目の肺転移治療中に,小腸腫瘍による腸重積の上部消化管閉塞で発症した.腫瘍はトライツ靱帯から15 cm肛門側の空腸にあり,切除標本では大きさ5.0×6.7×3.5 cm,類円形の隆起性病変であった.術後の組織学的検索から悪性線維性組織球腫の小腸転移と診断された.患者は初発から9か月目に呼吸不全で死亡した.
悪性線維性組織球腫の消化管転移は極めてまれで,自験例は小腸転移としては本邦の文献上6例目である.小腸重積を術前に診断する上で腹部CTは有用であった.
索引用語
malignant fibrous histiocytoma, intestinal metastasis, CT diagnosis of intussusception
日消外会誌 25: 2436-2440, 1992
別刷請求先
小松 正伸 〒046 北海道余市郡余市町大川町2丁目120 北海道社会事業協会余市病院外科
受理年月日
1992年5月13日
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