原著
肝細胞癌切除後の肝再発に対する再切除15例の検討
末永 昌宏, 岡田 喜克, 杉浦 勇人, 国場 良和, 上原 伸一, 久留宮 隆, 森 紀久朗, 山口 茂樹
名古屋記念病院外科
肝細胞癌肝切除耐術例106例の肝再発61例中の15例に再切除を行った.1か月ごとにα-fetoprotein(AFP),3~4か月ごとに超音波ないしcomputed tomographyによる追跡を行い,AFP陰性で7例の再発を発見した.術式は1区域1例,亜区域2例,部分切除12例と初回より少量肝切除が多かった.腫瘍最大径は15例中7例が20 mm以下の細小肝癌であった.2例を開胸経横隔膜的に切除した.大部分の症例に対して血行遮断をせず,マイクロ波メス,超音波吸引破砕装置を用いて肝切除を行った.術中出血量は平均1,160 mlで,術死はなかった.再切除後累積生存率は1年83%,3,5年40%で,初回肝切除後全経過でも3年87%,5年58%,7年46%と良好な予後を得た.肝切除後のAFP値および線密な画像診断の追跡により早期に再発を発見し,種々の工夫のもとで肝再切除を行って,治療法として肝再発例の25%に肝再切除を行い,良好な結果を得た.
索引用語
hepatocellular carcinoma, hepatic resection, recurrent hepatocellular carcinoma, repeated hepatic resection
日消外会誌 25: 2475-2482, 1992
別刷請求先
末永 昌宏 〒468 名古屋市天白区平針4-305 名古屋記念病院外科
受理年月日
1992年5月31日
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