原著
術中に診断された胆嚢癌に対する外科治療について
内田 克之, 吉田 奎介, 塚田 一博, 黒崎 功, 白井 良夫, 武藤 輝一, 渡辺 英伸*
新潟大学第1外科, *同 第1病理
胆嚢癌の治療成績向上に術中診断が有用であったか否かを検討した.胆嚢癌318例のうち63例(20%)が,術中診断された.そのうち主病巣が胆嚢内に限局した早期癌(m,pm癌)とss癌51例を対象とし以下の検討をした.術前診断不能の要因は,病変の描出不能25例,急性胆嚢炎,結石などのために不能16例,病変精査不十分10例であった.単純胆摘術30例,準標準的又は標準的胆嚢癌根治術が19例,その他の手術が2例になされた.早期癌の予後は術式によらず良好であったが,ss癌は術式により有意差を認めた(5生率:単純胆摘術31%,準標準的手術又は標準的手術88%).術中診断は有用であったが,予後向上のためには進展度に応じた術式が施行されなければならない.深達度診断が難しい現時点では標準的胆嚢癌根治術を施行すべきであるが,場合によっては病理学的検索後に術式を決め再手術をすることも考慮すべきである.
索引用語
gallbladder carcinoma, intraoperative diagnosis of gallbladder carcinoma, standard radical cholecystectomy
日消外会誌 25: 2489-2493, 1992
別刷請求先
内田 克之 〒951 新潟市旭町通1番町757 新潟大学医学部第1外科
受理年月日
1992年6月17日
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