原著
膵頭十二指腸切除術後の栄養学的検討
山田 拓, 広瀬 一, 林 勝知, 飯田 辰美, 田辺 博, 鬼束 惇義
岐阜大学医学部第1外科
膵頭十二指腸切除術(PD)術後症例14例および胃切除術術後症例14例において,栄養学的および免疫学的検討を行った.%標準体重はPD術後および胃切除術後症例で正常下限値,%上腕筋部皮脂厚はPD術後症例では中等度から高度の低値,胃切除術後症例では軽度から中等度の低値であった.赤血球数,リンパ球比は,PD術後症例が胃切除術後症例に比べ有意に低値であった.総コレステロールは,PD術後症例で低値であった.レチノール結合蛋白は,PD術後症例で著明に低値であった.総アミノ酸は,PD術後経過年数が長くなるほど回復するが,Fischer比は低下する傾向がみられた.免疫グロブリンはPD術後および胃切除術後症例で高値を,一方補体は低値を示す傾向がみられた.ツベルクリン反応はPD術後症例の28.6%,胃切除術後症例の35.7%が陰性であった.以上より,PD術後および胃切除術後の栄養障害は,marasmus typeの栄養障害を示す傾向が示唆され,PD術後に強い傾向を認めた.
索引用語
nutritional assesment after pancreatoduodenectomy, malnutrition after pancreatoduodenectomy
日消外会誌 25: 2494-2501, 1992
別刷請求先
山田 拓 〒500 岐阜市野一色4-6-1 岐阜県立岐阜病院胸部外科
受理年月日
1992年6月17日
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