症例報告
横行結腸軸捻転症の1例
河内 和宏, 横山 隆*, 児玉 節, 竹末 芳生, 沖田 光昭, 中光 篤志, 村上 義昭, 山東 敬弘, 津村 裕昭, 平田 敏明, 松浦 雄一郎
広島大学第1外科, 同 総合診療部*
本邦ではきわめてまれな横行結腸軸捻転症の1例を経験したので報告する.症例は30歳の女性で,腹部膨満を主訴として緊急入院した.既往歴に,脳性麻痺,精神遅滞,慢性便秘症があった.腹部正面X線像では著明に拡張した結腸ループが横隔膜を挙上していた.S状結腸軸捻転症を疑い,大腸内視鏡を施行したところ,大腸ファイバーはS状結腸を容易に通過し,肝門より約90 cmの部位に長軸に直角な粘膜の捻れを認めた.以上より横行結腸の捻転と診断し,手術を施行した.横行結腸間膜を中心として時計回転に180度軸捻転した横行結腸は壊死におちいっていたため,横行結腸切除術を施行し,再建は端々吻合により1期的に行った.後天的な成因による慢性の腸管運動障害に発症した症例においては,捻転解除術により壊死を免れたものにも,再発防止のために積極的に結腸切除術が行われるべきであると考える.
索引用語
volvulus of the transverse colon
日消外会誌 25: 2559-2563, 1992
別刷請求先
河内 和宏 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学医学部第1外科
受理年月日
1992年6月17日
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