特集
手術侵襲による生体反応に関する検討―細胞性免疫能低下の病態とその発生機序を中心に―
小川 健治, 勝部 隆男, 平井 雅倫, 渡辺 俊明, 若杉 慎司, 成高 義彦, 矢川 裕一, 梶原 哲郎
東京女子医科大学附属第二病院外科
消化器癌治癒切除例を対象とし,手術侵襲による細胞性免疫能低下の病態や発生機序,さらにはその低下に対するPSK術前投与の効果などについて検討し,以下の結論をえた.
1.手術侵襲によって,担癌患者の細胞性免疫能は確実に低下する.
2.その免疫学的病態は,末梢血リンパ球におけるhelper-inducer T,cytotoxic T,NK cellの比率の低下,suppressor T cellの比率の上昇などが主体をなす.
3.細胞性免疫能低下の発生機序には,カテコールアミン,コルチゾールなど内分泌系ホルモンの増加,interleukin-6,immunosuppressive acidic proteinなど急性相反応物質の増加が関与する.
4.こうした術中から術後の細胞性免疫能低下を防止することは,腫瘍増殖や転移形成との関連から重要であるが,BRMの1つであるPSKの術前投与で防止しうることが示唆された.
索引用語
cellular immunosuppression, surgical stress, preoperative administration of PSK
日消外会誌 25: 2601-2605, 1992
別刷請求先
小川 健治 〒116 荒川区西尾久2-1-10 東京女子医科大学第二病院外科
受理年月日
1992年7月6日
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