特集
進行胃癌に対する膵温存手術と膵脾合併切除術の根治性,quality of lifeに関する比較検討
木下 平, 丸山 圭一, 笹子 三津留, 大山 繁和
国立がんセンター外科
胃癌根治術における脾動脈幹周囲リンパ節郭清に関して,膵脾合併切除による郭清例233例と丸山の提唱する膵温存手術例137例につき比較検討した.ステージ別にその成績を検討するとステージIIIで膵温存群59%に対し膵合併切除群36%と膵温存手術群で有意に良好であった.No.11リンパ節の組織学的転移陽性例の5生率でも膵温存手術群(n=14)で16.8%と膵合併切除術(n=59)の10.1%と比較しても決して悪い成績ではなかった.ステージに現れない進行度の差を考慮しても膵温存手術の根治性は充分期待できると考えられた.
Quality of life(QOL)の面からも,入院死亡率,術後の膵関連合併症は膵合併切除群に多く,術前術後にO-GTTによる耐糖能の検討でも膵合併切除群で術前4例であった糖尿病型の症例が12例と,膵温存手術群に対し有意に増加していた.膵温存手術は適応を選べば根治性,QOLともに優れた術式である.
索引用語
lymphnode dissection aroud the splenic artery for advanced gastric cancer, distal pancreatosplenectomy, quality of life
日消外会誌 25: 2618-2623, 1992
別刷請求先
木下 平 〒104 中央区築地5-1-1 国立がんセンター外科
受理年月日
1992年7月6日
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