特集
肝門部胆管癌に対する合理的肝区域切除の評価
近藤 哲, 二村 雄次, 早川 直和, 神谷 順一, 安井 章裕, 梛野 正人, 深田 伸二
名古屋大学第1外科
1979年から1990年までに肝門部胆管癌に対し合理的肝区域切除で根治手術を施行しえた56例を対象として,根治性とquality of life(QOL)の両面から本手術法を評価した.詳細な術前進展度診断・肝門部立体解剖診断に基づいた合理的肝区域切除により,肝門部胆管癌全例の67%に根治切除が可能であった.根治切除例の術後在院死亡率は11%で,大部分は術後肝不全死であった.根治切除全56例の累積5年生存率は32%,術後在院死・他病死を除く43例では43%と,高度進行例が多いことも考慮すると良好な遠隔成績であった.根治切除後1年以上経過して現在無再発生存中の15例のQOLを調査したところ,performance status(PS)0が14例,PSIが1例で,復職率100%,有症状率20%(軽度)と良好な社会生活を営んでいた.癌再発例でも肝門部局所再発は15%と少なく,QOLは比較的良好であった.以上より,合理的肝区域切除は根治性と安全性・QOLを両立しうる手術法と考えられた.
索引用語
bile duct carcinoma of the hepatic hilus, hepatic segmentectomy, quality of life
日消外会誌 25: 2647-2650, 1992
別刷請求先
近藤 哲 〒466 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部第1外科
受理年月日
1992年7月6日
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