特集
Quality of lifeの客観的指標としてのhospital free survivalおよびquality-adjusted Survival analysisを用いた進行膵癌の治療法の評価
坂本 純一, 安江 満悟, 安井 健三, 森本 剛史, 宮石 成一, 中里 博昭
愛知県がんセンター消化器外科
愛知県がんセンターにおける進行膵癌152例(TNM StageIII 58例,Stage IV 94例)につき生存期間をKaplan―Meier法にて比較した.またQOLをより客観的かつ定量的に評価するための測度として,在宅生存期間(hospital free survival:HFS)を算出し,各群間で比較することを試みた.また手術後の入院期間をTOX(Toxicity),再燃後の入院期間をRelapse(REL)と考え,それぞれにutility coefficientを乗じてTWiSTに加算して算出したquality-adjusted survival time(QAST)を各群間で比較してみた.その結果Stage IIIでは生存期間,HFS,QASTいずれの評価についても切除群が非切除群に対しlogrank testで有意に良好であった.Stage IVではgeneralized Wilcoxon testで生存期間とHFSについてR群がNR群に対し有意に良好な成績を示したが,QASTでは両群間に差を認めず,Stage IVにおいては膵切除がQASTであらわされるQOLの向上に結びついていない可能性が示唆された.
索引用語
advanced pancreas cancer, hospital free survival, quality-adjusted survival analysis
日消外会誌 25: 2655-2660, 1992
別刷請求先
坂本 純一 〒464 名古屋市千種区鹿子殿1-1 愛知県がんセンター消化器外科
受理年月日
1992年7月6日
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