頸部食道胃管吻合部の術後粘膜面組織血流に関する臨床的研究

三吉　博, 四方　淳一, 戸倉　康之^＊

帝京大学医学部第1外科, 浦和市立病院外科^＊

　食道手術後頸部食道胃管吻合部およびその周囲の粘膜面組織血流量について主として良性吻合部狭窄発生との関係を中心にendoscopic laser-Doppler flowmetryを用いて臨床的検討を加えた．対象は食道に異常を認めなかった健常者（対照群）24例と，胸部食道癌で過去に食道切除後胃管にて再建術を受けた14例とした．健常対照群では胃穹窿部，腹部・胸部・頸部食道すべてにおいて26（単位m1/min/100 g，以下同じ）以上の良好な血流の存在が確認された．一方，食道手術後群では胃管先端（旧胃穹窿部），吻合部，頸部食道の粘膜面組織血流量はすべて25以下の低値を示した．さらに食道術後群を吻合部狭窄の有無により2群にわけると吻合部の粘膜面組織血流量は吻合部狭窄（－）群で25，吻合部狭窄（＋）群で10と吻合部狭窄（＋）群で有意に低値を示し，頸部食道良性吻合部狭窄発生と粘膜面組織血流量の低値との相関性が示唆された．

索引用語
esophageal anastomotic stenosis, tissue blood flow, endoscopic laser-Doppler flowmetry

別刷請求先
三吉　博　〒173　板橋区加賀2-11-1　帝京大学医学部第1外科

受理年月日
1992年7月6日

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