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第25巻 第11号 1992年11月 [目次] [全文 ( PDF 516KB)]
症例報告

粘膜関連リンパ組織の過形成による食道粘膜下腫場の1例

中村 泰啓, 前田 迪郎, 貝原 信明

鳥取大学医学部第1外科

 症例は57歳の男性.胃検診にて胸部上部食道に隆起性病変を指摘され当科を紹介された.X線造影検査,内視鏡検査,CTなどの所見から良性の食道粘膜下腫瘍が考えられ,経頸部的に非開胸で腫瘤摘出を行った.腫瘤は大きさ2.8×1.5×1.5 cmで被膜を有さない弾性硬なものであった.術後の病理学的検索にて,悪性リンパ腫などとの鑑別を要したが,粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue)の増殖により腫瘤を形成したと考えられる極めてまれな食道粘膜下腫瘍であった.今後,食道に限らず消化管の粘膜下腫瘍の鑑別診断に際して考慮すべきものであると考えられ,若干の文献的考察を加えて報告した.

索引用語
submucosal tumor of the esophagus, mucosa-associated lymphoid tissue, benign lymphoid hyperplasia

日消外会誌 25: 2779-2783, 1992

別刷請求先
中村 泰啓 〒683 米子市西町36-1 鳥取大学医学部第1外科

受理年月日
1992年7月6日

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