原著
小腸・結腸運動への腹腔動脈および上腸間膜動脈神経節切除の影響に関する実験的研究
太田 大作
長崎大学医学部第2外科(主任:兼松隆之教授)
腹腔動脈および上腸間膜動脈神経節切除による小腸・結腸運動への影響を実験的に検討した.雑種成犬7頭を用い,それぞれ小腸,回一結腸接合部,右結腸にstrain gage force transducerを縫着し,空腹期と食後期の小腸・結腸運動を神経節切除前・後で比較した.小腸では,神経節切除後の空腹期にmigrating motor complexのphase Iの短縮,phase IIの延長,伝播時間の短縮が認められた.食後期には全小腸を急速に伝播する高振幅収縮波群が出現し,小腸の内容物移送亢進が示唆された.結腸では神経節切除後,空腹期の変化は認めなかったが,食後期において静止期持続時間が12.7~13.3分から4.9~6.3分へと短縮,収縮期持続時間が6.9~8.6分から13.4~20.1分へと延長し,運動の亢進状態が認められた.以上の結果から,神経節切除後の小腸・結腸運動の亢進は,同神経節を介する抑制系外来神経の遮断あるいは抑制系の腸―腸反射の遮断によるものと考えられた.
索引用語
celiac ganglionectomy, superior mesenteric ganglionectomy, extrinsic nurve, small intestinal motility, colonic motility
日消外会誌 25: 2929-2937, 1992
別刷請求先
太田 大作 〒190-12 武蔵村山市学園2-37-1 国立療養所村山病院外科
受理年月日
1992年7月6日
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