原著
食道外シャント併存食道静脈瘤症例の門脈血行の検討
近森 文夫, 青柳 啓之, Niranjan Sharma*, 渋谷 進*, 折居 和雄*, 高瀬 靖広*
筑波メディカルセンター病院消化器外科, 筑波大学附属病院消化器外科*
食道静脈瘤以外の胃―大静脈シャント(食道外シャント1))の臨床的意義を明らかにすることを目的とし,食道静脈瘤43例を,食道外シャント非併存群(I群,n=24)と併存群(II群,n=19)に分けて,門脈圧,吐血率,硬化療法(IS)による静脈瘤供血路や食道外シャントの閉塞率について検討した.治療前の門脈圧(mmH2O)はI群423±70に比べて,II群では335±60と低く(p<0.01),吐血率もI群63%に比べて,II群では26%と低い(p<0.05).IS前後の経皮経肝門脈造影からみた静脈瘤供血路の閉塞率は,噴門静脈叢:I群83%,II群88%,左胃静脈:I群67%,II群11%,短胃静脈:I群25%,II群0%であった.食道外シャントの閉塞率は胃―奇・半奇静脈シャント11%,胃―横隔静脈シャント0%,胃―腎静脈シャント0%であった.食道外シャント併存食道静脈瘤においては,ISにより静脈瘤と噴門静脈叢が閉塞されるが食道外シャントは温存されるので,門脈圧はIS後も有効に緩衝されている.
索引用語
injection sclerotherapy, extraesophageal gastrocaval shunt, esophageal varices
別刷請求先
近森 文夫 〒305 つくば市天久保1-3-1 筑波メディカルセンター病院消化器外科
受理年月日
1992年9月9日
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