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第26巻 第1号 1993年1月 [目次] [全文 ( PDF 822KB)]
原著

急性膵炎の重症化に及ぼす胆膵管閉塞の影響

足立 雅尚, 竹山 宜典, 上田 隆, 斎藤 洋一

神戸大学医学部第1外科

 胆石性膵炎の多くは,軽症膵炎にとどまるが重症化する症例も少なからず存在する.しかし,その重症化機構は明らかではない.今回われわれは,乳頭部閉塞が軽症膵炎の病態に及ぼす影響を胆膵管結紮とセルレイン膵炎を組み合わせたラットのモデルを用いて検討した.胆膵管末端を結紮しその1時間後からセルレイン(5 µg/kg/h)を5時間持続静注した群は,セルレイン膵炎単独群より約4倍の血清アミラーゼ値の上昇を認め,浮腫性膵炎にとどまらず出血性膵炎に至った.またこのモデルに肝門部胆管結紮を付加しても,同程度に重症化した.一方,セルレインの投与開始2時間後に胆膵管末端の結紮を付加した群では,膵の出血性変化は非常に軽度であった.以上より胆膵管閉塞は胆汁成分の関与なしにセルレイン膵炎を重症化させ,重症化因子として膵管内圧上昇の関与があり,しかもこれが急性膵炎の発症に先立って存在する場合に重症化に最も強く影響することが示唆された.

索引用語
biliary pancreatitis, hemorrhagic pancreatitis, pancreatic duct obstruction, caerulein-induced pancreatitis, pancreatic duct hypertension

日消外会誌 26: 56-63, 1993

別刷請求先
竹山 宜典 〒650 神戸市中央区楠町7-5-1 神戸大学医学部第1外科

受理年月日
1992年9月9日

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