食道平滑筋肉腫の2切除例

森　昭文, 東野　正幸, 大杉　治司, 前川　憲昭, 徳原　太豪, 谷村　愼哉, 福長　洋介, 木下　博明

大阪市立大学第2外科

　食道平滑筋肉腫はまれな疾患であり，われわれが集計しえた本邦報告例は自験2例をあわせて52例にすぎない．食道平滑筋肉腫は内視鏡下生検による術前組織診が困難で，自験2例でも潰瘍を形成した1例は術前組織診断は可能であったが，他の1例は腫瘍表面が正常粘膜に覆われ不可能であった．超音波内視鏡検査は腫瘍の壁内の局在部位診断に有用で，壊死巣も指摘しえた．血管造影X線検査上，食道平滑筋腫は自験例やその他の報告例においてhypovascularであるが，食道平滑筋肉腫はhypervascularな像を示した．2例ともに下部食道切除，胃管による再建が施行され，病理所見上紡錘形腫瘍細胞の束をなした錯綜像，高細胞密度と高率のMitosis（＞5HPE）が観察され，食道平滑筋肉腫と診断した．以上食道平滑筋肉腫の術前診断には超音波内視鏡，血管造影などが有用であると思われた．

索引用語
esophageal leiomyosarcoma, endoscopic ultrasonogram of esophageal leiomyosarcoma

別刷請求先
森　昭文　〒545　大阪市阿倍野区旭町11-5-7　大阪市立大学医学部第2外科

受理年月日
1992年9月9日

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