症例報告
食道癌術後に生じた難治性経胸骨胃管皮膚瘻の1治験例
鬼頭 秀樹, 澤田 隆吾, 八代 正和, 林部 章, 樽谷 英二, 十倉 寛治, 浅田 健蔵, 竹林 淳
和泉市立病院外科
食道癌術後4か月目に,胃管潰瘍が穿孔し,胸骨を貫いて前胸部皮膚に瘻孔を形成したが,保存的に治癒させることができた1例を報告した.
症例は65歳の男性で,胃管皮膚瘻は吻合部のやや肛門側の胃管前壁にあり,OK432・5 KE/フィブリノーゲン80 mgの溶液を1~2週間の間隔で,胃管側瘻孔辺縁に内視鏡的に3回,前胸部皮膚瘻辺縁に1回局所注入することによって,肉茅増殖が促進され瘻孔は閉鎖した.
食道癌術後の胃管潰瘍の本邦報告例は自験例を含めて33例で,穿孔または穿通したものは14例あり,そのうち10例に手術が施行されている.皮膚瘻を形成して手術された4例のうち2例が縫合不全をおこしており,極めて難治性である.皮膚瘻を形成して保存的に治癒した症例は自験例のみであった.
索引用語
esophageal cancer, peptic ulcer, cutaneo-sternal-gastric tube fistula
別刷請求先
鬼頭 秀樹 〒594 和泉市府中町4-10-10 和泉市立病院外科
受理年月日
1992年9月9日
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