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第26巻 第1号 1993年1月 [目次] [全文 ( PDF 450KB)]
症例報告

胃潰瘍に対する胃空腸吻合術後56年目に発生した胃多発癌の1例

河野 浩二, 関川 敬義, 小河原 忠彦, 本田 勇二, 鄭 子文, 三木 修, 松本 由朗

山梨医科大学第1外科

 胃潰瘍に対し胃空腸吻合術(胃非切除)を受け,56年後に早期多発胃癌が生じた1例を経験したので報告する.症例は75歳の男性で,19歳時胃潰瘍に対し胃空腸吻合術を受けている.定期健康診断における胃内視鏡検査で,胃空腸吻合部を中心に複数の陥凹性病変を指摘され,生検の結果,中分化型腺癌と診断された.胃空腸吻合部を含む胃亜全摘術(R2郭清)を施行し,IIcおよびIIb型早期胃癌が5か所に認められた.病理組織検査で,いずれも深達度mの中分化型腺癌で,胃癌取扱い規約では,H0,P0,n0,m,stage Iであった.
 胃空腸吻合術後に発生した胃癌の本邦報告例は,著者らが検索した範囲内では自験例を含め24例であり,そのなかに多発癌症例の報告はみられなかった.このような症例における発癌機序としては,胆汁を含む十二指腸液の胃内逆流がその要因として考えられている.

索引用語
multiple gastric carcinoma after gastrojejunostomy, duodenogastric reflux

日消外会誌 26: 107-111, 1993

別刷請求先
河野 浩二 〒409-38 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 山梨医科大学第1外科

受理年月日
1992年9月9日

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