症例報告
巨大な肝外発育型肝細胞癌の1例
天野 穂高*, 一瀬 雅典*, 蜂巣 忠, 神宮 和彦*, 鈴木 孝雄*, 坂本 薫, 大森 耕一郎, 柏原 英彦, 横山 健郎
国立佐倉病院外科, *現 千葉大学医学部第2外科
肝外発育を示す肝細胞癌の1手術例を経験したので報告する.症例は69歳の男性で腹部腫瘤,消化管出血を主訴に来院した.諸検査にて肝外側区域より肝外発育を示し,胃体中部前壁に直接浸潤した肝細胞癌と診断した.手術は肝外側区域部分切除をともなった腫瘍摘出術および幽門側胃切除術を施行し,腫瘍をen blocに切除した.切除標本で腫瘍の大きさは19×16×13 cm,重量は2,120 gであり,非癌部肝は高度の肝硬変を併存していた.肝外発育型肝細胞癌は腫瘍の局在性より切除率は良好であるが,肝内への進展および他臓器への浸潤を見ることもあり,肝臓および周囲臓器への広がりを考慮した詳細な術前診断および手術術式の選択が必要と思われる.
索引用語
extrahepatically growing hepatocellular carcinoma, hepatocellular carcinoma invading the stomach
別刷請求先
天野 穂高 〒260 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第2外科
受理年月日
1992年9月9日
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