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第26巻 第1号 1993年1月 [目次] [全文 ( PDF 465KB)]
症例報告

胆嚢摘出術後に発症した急性肺血栓塞栓症の1例

増子 佳弘, 波江野 力, 高野 典彦, 後藤田 明彦, 大江 成博, 高橋 雅俊, 東 常視, 長谷川 紀光, 宮内 甫, 内野 純一

北海道大学第1外科, 札幌厚生病院外科

 胆嚢摘出術後1日目に発症した急性肺血栓塞栓症の1例について報告する.症例は64歳の女性で,胆嚢摘出術施行翌日,突然血圧が50 mmHgまで低下しPaO2 31.6 mmHgと著明な低酸素血症を認めた.理学所見などより早期に肺塞栓症を疑い血栓溶解療法(ウロキナーゼ24万単位/日,ヘパリン2万単位/日)を開始,肺動脈造影で確定診断をつけた.血栓溶解療法は著効を示し,4病日目にはExtubationが可能となり,10病日目にてウロキナーゼの投与を中止した.術後早期の血栓溶解療法は創部出血の危険性が伴うが,重篤性の相対的評価によって,これをためらってはならない.生活様式の欧米化にともない,本症の発生率は増加すると思われる.消化器外科手術後の合併症として常に念頭におき,疑いを持ったら早期に血栓溶解療法を試みることが,本症の治療成績の向上につながると思われる.

索引用語
pulmonary thromboembolism, cholecystectomy

日消外会誌 26: 136-140, 1993

別刷請求先
増子 佳弘 〒060 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学第1外科

受理年月日
1992年9月9日

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