腸切除を要した腸結核，結核性腹膜炎の1例

溝江　昭彦, 林　い欽, 正　義之

医療法人光善会百合野病院外科

　今回，腸結核に結核性腹膜炎を合併し急性腹症として緊急手術を施行，腸切除を要した症例を経験したので報告する．患者は24歳の女性で，右下腹部激痛を主訴として入院．腹部全体の疼痛と腹部膨満があり，腹膜刺激症状が著明であった．腹部X線検査，腹部超音波・CT検査にて腹水の貯留と麻痺性イレウスの所見があり，汎発性腹膜炎と診断して，緊急手術を施行した．手術所見で回腸末端に径約5 cmの硬い腫瘤を触知し，漿膜面に腹膜播種性の粟粒大の乾酪様結節を認め，腸間膜リンパ節は累々と腫大していた．右半結腸切除術を施行し，切除標本の肉眼的および病理学的特徴より，腸結核と診断した．病型は混合型を示し，活動性炎症が腹膜に波及して限局化せず，汎発性腹膜炎を呈したと考えられた．本例は1次性腸結核と考えられたが，術後経過中に肺病変が遅れて出現しており，現在抗結核剤を投与しながら経過を観察中である．

索引用語
intestinal tuberculosis, tuberculous peritonitis

別刷請求先
溝江　昭彦　〒851-21　長崎県西彼杵郡時津町元村郷1155-2　医療法人光善会百合野病院外科

受理年月日
1992年9月9日

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