症例報告
肝転移巣を含め4回切除しえた異時性多発大腸癌の1症例
滝井 康公, 岡本 春彦, 須田 武保, 酒井 靖夫, 畠山 勝義, 武藤 輝一
新潟大学第1外科
71歳から78歳までの7年間に,肝転移巣も含め計4回外科的切除を行い,再発の徴候なく経過している異時性多発大腸癌の1症例を経験したので報告する.症例は,現在81歳の男性.1982年12月頃,血便を自覚.注腸造影検査,colonofiberscopy(CF)を施行.S状結腸癌の診断で,1983年2月,S状結腸切除術を施行(第1回目).その後carcinoembryonic antigen(CEA)の上昇があり,computed tomographyなどにて肝転移巣が,CFにて横行結腸癌が指摘され,1985年2月に,横行結腸部分切除術,肝内側区域部分切除術を施行(第2回目).1987年4月には,CFにて発見された回盲弁近くの大腸癌に対し回盲部切除術を施行(第3回目).1989年11月にも,CFにて横行結腸癌が発見され,横行結腸部分切除術(第4回目)が行われた.4回の手術のうち,初回以外は無症状で病変が発見されたもので,術後のCFなどによる詳細な検索が有用な症例であった.
索引用語
metachronous multiple carcinomas of the large intestine, liver metastasis from the colon cancer
別刷請求先
滝井 康公 〒951 新潟市旭町通1番町57 新潟大学第1外科
受理年月日
1992年9月9日
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