症例報告
幽門狭窄をきたしたクローン病の1手術例
今村 幹雄, 高橋 広喜, 山内 英生
国立仙台病院外科
幽門狭窄をきたしたクローン病の1手術例を経験したので文献的考察を加えて報告した.患者は23歳の男性で,昭和59年に大腸クローン病と診断され内科的治療で経過観察がなされていた.昭和62年頃より,悪心,嘔吐が出現し,上部消化管造影X線検査で幽門狭窄がみられ,また,胃内視鏡検査で,胃前庭部から十二指腸球部にかけcobblestone appearanceを呈した結節状隆起を認めた.生検にてラングハンス型巨細胞を伴う類上皮細胞性肉芽腫が認められクローン病による幽門狭窄と診断された.保存的治療では改善せず胃空腸吻合術を施行した.
胃幽門部または十二指腸に狭窄をきたしたクローン病の文献上の本邦報告例は自験例を含め18例あり,15例に手術が施行され,10例で切除術,5例でby-pass術がなされている.
索引用語
pyloric stenosis due to Crohn's disease, by-pass surgery for pyloric stenosis
別刷請求先
今村 幹雄 〒983 仙台市宮城野区宮城野2-8-8 国立仙台病院外科
受理年月日
1992年9月9日
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