卒後教育セミナー
外傷性消化管損傷の治療
山本 修三
済生会神奈川県病院外科, 神奈川県交通救急センター
外傷性消化管損傷(穿孔例)227例(1965年8月~1991年12月)をretrospectiveに分析した.損傷部位別に術式と成績を検討し,消化管損傷の治療について,十二指腸損傷と大腸損傷の術式を中心に考察を加えた.
損傷機転では鈍的外力によるものが163例(71.8%),鋭的損傷は64例(28.2%)であった.消化管の部位別発生頻度は小腸損傷が141例ともっとも多く,次いで十二指腸損傷43例,大腸損傷37例,胃損傷30例であった.
胃損傷は鋭的損傷によるものが多く,術式は穿孔部の単純縫合が78.1%であった.十二指腸損傷に対しては単純縫合(8例),空腸漿膜パッチ法(8例),divertculization(24例)などの術式が行われたが,損傷の部位,程度,胃内容の有無,合併損傷の有無などにより適切な術式を選択する必要がある.小腸損傷は治療上の問題は少なく,大腸損傷に対しては,1期的治療が75.7%に行われ,1期的治療の有用性が示唆された.
索引用語
abdominal trauma, treatment of the duodenal injury, primary repair of the colon injury
別刷請求先
山本 修三 〒221 横浜市神奈川区富家町6-6 済生会神奈川県病院外科
受理年月日
1992年10月7日
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