会長講演
Simulationによる肝病態の客観的評価
桜井 健司
東京慈恵会医科大学第1外科
肝組織量を大幅に減少させる肝切除,肝機能障害患者の手術では周手術期の肝臓の病態を的確に推測,評価しておきたい.
肝病態を数値的に評価する方法として,1)血中indocyanine green(ICG)動態,2)肝臓の3次元画像,を解析した.血中ICGの消失曲線から肝機能,循環血液量などを含む各種パラメータの算出が可能である.肝臓の3次元画像を構築からは,肝臓の各領域の容積算出,肝病変(腫瘍)の位置決め,肝腫瘍/正常肝の容積比,肝切除術後の肝再生動態の把握,またコンピュータ・シミュレーションによって最適切除面,手術様式の決定,残存肝予備能の推測などができる.
肝臓の病態は形態的,また機能的に独立したものではない.これらの計測値およびシミュレーションを総合的に理解すれば,肝臓の病態,また想定した特定の治療後の状態を客観的に予測,評価するのに役立つ.
索引用語
kinetic behavior of indocyanine green, three dimensional image of the liver, estimation of hepatic functional reserve by computer simulation
別刷請求先
桜井 健司 〒105 港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学第1外科
受理年月日
1992年12月9日
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