原著
下部食道癌に対する食道抜去術の成績
平井 敏弘, 山下 芳典, 向田 秀則, 岩田 尚士, 佐伯 修二, 吉本 晃宏, 峠 哲哉
広島大学原爆放射能医学研究所外科
癌を可能なかぎり非開胸的に切除したいという理念により,切除可能なEi以下の下部食道癌に対して,その進行度に関わらず基本的に食道抜去術を施行してきたので,その成績について検討した.1991年12月までに当科で施行した食道抜去術例は55例であるが,このうち,33例が下部食道癌症例であった.術後合併症では気胸を8例(24%),嗄声を4例(12%),肺炎を3例(9%)に生じた.手術直接死亡は2例で,死因は奇静脈損傷と縦隔洞炎であった.直死例を除いた31例の5年生存率は24.8%であった.初発再発部位の検討では臓器再発9例(29%),リンパ節再発4例(13%),播種2例(6%),遺残頸部食道再発1例(3%)であった.今後は強力な術前後の集学的治療により予後の向上を図ることが必要と思われた.
索引用語
esophageal cancer, transhiatal esophagectomy, postoperative complications, late results
別刷請求先
平井 敏弘 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学原爆放射能医学研究所外科
受理年月日
1992年10月7日
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