原著
Borrmann 4型胃癌の予後予測指標としての選択的腹腔動脈造影の意義
片井 均1)4), 熊井 浩一郎1), 久保田 哲朗1), 吉野 肇一1), 石引 久弥1), 北島 政樹1), 毛利 誠2), 向井 万起男3)
慶應義塾大学医学部外科1), 同 放射線診断科2), 同 病理3), 社会保険埼玉中央病院外科4)
Borrmann 4型胃癌の術前の予後予測手段として選択的腹腔動脈造影法(SCA)の有用性を検討した.対象はBorrmann 4型胃癌の切除症例76例で肉眼所見により巨大皺襞型(23例)と潰瘍びまん浸潤型(53例)に分類した.SCA所見として胃壁動脈狭小化(A)と胃壁静脈消失(V)をとりあげた.潰瘍びまん浸潤型,巨大皺襞型のいずれの群についてもAV陰性群(A,V共に陰性)はAV陽性群(A,V両者または,いずれか一方陽性)より予後良好と考えられ,とくに巨大皺襞型で生存曲線に有意差を認めた.巨大皺襞型のうち外科的に良好な予後が期待される肉眼的治癒切除例において,術後50%生存期間はAV陰性群7例で24か月,AV陽性群7例で9か月であり,生存曲線でも有意の差を認めた.これらの検討によりSCA像は術前の予測判定に有用な指標と考えられた.
索引用語
type 4 gastric cancer, survival curve of gastric cancer, selective celiac angiography
別刷請求先
片井 均 〒336 浦和市北浦和4-9-3 社会保険埼玉中央病院外科
受理年月日
1992年10月7日
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